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植民地朝鮮の日本人宗教者
記事題目
「西本願寺韓國開敎近況」
作者
雑誌名
『中外日報』
号数等
年月日
1908年8月18日
本文
西本願寺が特に韓人を敎化すべく去る四月に組織したる韓人敎會は目下二千二百人の會員を有し、其内七百人は婦人なり會員中には韓國宮内省の官吏抔もありて京城に於ける有數の韓人は悉く網羅せり今日までに日本僧侶に依つて韓人敎誨に手を出したるもの少かれども多くは其發行したる門徒章を他人に売付て利を貪り、夫が終には一個や二個に止らず、巧に僧侶を欺き門徒章を多く買取り夫を田舎に持ち行て多額に売付ける請負屋の如きものさへ出來し、悪く利用せられたる歴史あれば本願寺は豫め之に備へんがために、布敎としては只韓人等と懇親を結ぶと云ふ程度に止めて、如何なる名義に於ても金品を受けず、會員章も門徒章も無料にて與へ、殊に其門徒章には売買を禁ずるの文字を記し、其弊害を未然に防ぐの道を講ぜり、而して一方に於いては熱心なる會員にして真宗の經文を読まんことを請ふものには、豫て製しある讃佛集(正信偈、和讃、阿弥陀經、代価四五銭のもの)を與ふることゝ成り居るもこれは真の原価だけを徴して居るなりと、是が監督主任は豊後の巌常見(圓の誤記カ)氏なるが、其熱心度を過ぎ却つて他人の疑を招いて不利益を招くを被むる程なるを以て之を制肘するに就ては開敎總監部苦心しつゝありと、されど四月以來熱心に其敎化に勉めたる結果は意外に効を奏し、韓人中に正信偈、和讃、阿弥陀經を読むものゝ多く出來たるのみならず、進では真宗の敎義を平易に聞き度しと要求するものある由にて近日開始せらるゝ由。
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