尼僧前川妙順ニ関スル件㉖0097-0124

0097

尼僧前川妙順ニ関スル件

朝鮮総督府学務局長

東京市本郷区駒込浅嘉町七十五番地

本門法華宗管長殿

0098

客年十二月二十四日附宗第一三号ヲ以テ前川

妙順ノ教師等級ヲ越階昇補セルハ同人ノ

師僧山田日要及宗務取締能受日章

連署シテ行賞ノ申請ヲ為シ仍ホ大本山

光長寺住職ノ副申ニ基キ宗規第十四号

第一條第一項及第五項ニ依リ賞与シタ

ル旨宗務総監ヨリ回答相成候処此ノ度

御送附ニ係ル行賞申請書並其ノ副申

書ノ謄本ヲ閲スルニ行賞申請ノ日附モ

亦其ノ副申ノ日附モ大正十五年七月八日ナル

0099

ヲ以テ管長ニ於テ越階昇補ノ詮議ヲ為

シタルハ同日附以後ニ在ルモノトセサルヘカラス

然ルニ前川妙順カ布教届書ニ添テ本

府ニ提出シタル履歴書ニ揚ケタル所及布教管

理者ノ諦認スル所ニ依レハ大正十五年三月

二十九日教師補ニ叙セラレ同年五月二十一日

訓義ニ叙セラルトアルヲ以テ七月八日附ノ行

賞申請ニ基ク補命トハ認メ難ク且ツ又

同人ノ履歴ニ依レハ山田日要ニ入弟セルハ

大正十五年三月二十九日ト記載アルヲ以テ

0100

大本山光長寺ニ於テ前川妙順ニ対シ大

正十五年二月五日附ヲ以テ入寺昇堂交

衆了畢ノ印可状ヲ交付シ仍ホ二月七日

附ヲ以テ管長ニ僧籍編入願ヲ提出シ

タルハ事皆山田日要ト前川妙順トノ

間ニ師弟ノ法縁成立以前ニ係ル所作

ナルヲ以テ貴宗ノ宗制宗規ニ適合スル相

当ノ処置トハ認メ難シ依テ前川妙順ハ

宗制宗規ニ依リ適法ニ教師分限ヲ有

スルモノニアラスト認メ同人ノ提出ニ係ル布

0101

教届出ニ関スル一切ノ書類ハ却下ノ処

分ニ及候間御了知相成度此段申入

候也

其ノ二案

学務局長

平安南道知事殿

前川妙順ノ布教届ニ関スル件

客年十二月一日附ヲ以テ進達相成候左

記ノ届書ハ其ノ届出人ノ身分調査ノ

結果同人ハ本門法華宗ノ宗制及宗

0102

規ニ依テ適法ニ教師分限ヲ有スルモノ

ト認メ難キニ依リ提出書類差戻シ

候間交付方御取計相成度及通

牒候也

一布教届 大正十五年年十月十六日附

一布教所設置届 右同断

以上

0103

起案理由

本件前川妙順ヨリ提出セル布教届及布

教所設置届ヲ調査スルニ同人ハ普通

学及宗旨専要ノ学歴ニ乏シク教師

分限ノ取得上甚タ疑ハシキ点アルヲ以テ

別紙甲号ノ通管長ニ照会シテ乙号

ノ通回答ヲ得タルモ尚ホ不審ノ箇條ヲ曉

解スル能ハス依テ更ニ丙号ノ通照会セシニ

即チ丁号ノ通リ回答シ来レリ今両次ノ

回答ヲ得テ之ヲ査理スルニ

0104

第一 教師分限取得ノ根本タル補任ノ

時日本人ノ申立ト管長ノ回答ト

彼此一致せス

第二 師弟関係ノ成立即チ法縁ノ締結

以前ニ在テ入寺、昇堂及交衆ヲ許

シタル印可状ヲ交付シ且ツ僧籍編

入願ヲ管長ニ提出シ管長ニ於テ

之ヲ是認シタル事実アリ

依テ按スルニ右ハ孰レモ他宗ノ僧侶ヲ自宗

ニ帰属セシムル為ニ顕著ナル事実ヲ無

0105

視シテ非違ノ遂行ヲ成孰セムトスルモノト

認メラルルニ依リ宗教行政ノ監督上ニ

於テ看假スヘカラサルモノト思考シ茲ニ

本案ヲ具シ相伺候

0106

丁号

大正十五年十二月二十四日

本門法華宗宗務監督三吉顕隆

朝鮮総督府学務局長李軫鎬殿

尼僧前川妙順ニ関スル件

大正十五年十二月十四日付ヲ以テ尼僧前川妙順身分資格ニ関シテ

再度御照会ノ件了承右ハ所嘱本山及宗務取締ノ申請ニ依リ

宗規第十四号第一條第一項及第五項ニ依リ賞典シタルモノニ有之候条

此段及御答候也

追テ前川妙順ニ対スル行賞申請書並ニ所嘱本山副申書写

別紙及御送候条御査収相成度候

0107

行賞副申書

拙山末静岡県常唱院住職山田日要徒弟

教師補前川妙順義別紙申請書ノ通リ

新領土タル朝鮮ニ於テ布教ニ従事シ多数信徒

教化セシメタルハ奇特トス依テ宗規第十四号第一条

第一項及第五項ニ依リ行賞相成度此段及副申

候也

大正十五年七月八日

大本山光長寺住職

大僧正木村日舜

本門法華宗管長

大僧正飯高日享殿

0108

行賞副申書(写)

静岡県駿東郡足柄村常唱院住職

山田日要徒弟

教師補前川妙順

右前川妙順尼ハ新領土タル朝鮮ニ於テ立

正大師ノ教風ヲ宣揚シ数多ノ信徒ヲ得テ

既ニ教会所設立ノ基礎ヲ確立シテ出願ノ

運ニ至リ居リ次第ニ御座候得者同人ニ対シ特

別ノ御詮議ヲ以テ行賞ノ栄ニ預リ度此段

願上候也

大正十五年七月八日

右師僧

山田日要

本門法華宗第八教区

宗務取締能受日章

本門法華宗管長

大僧正飯高日享殿

0109

尼僧前川妙順ノ身分資格ニ

関スル再問合

朝鮮総督府学務局長

東京市本郷区駒込浅嘉町七十五番地

0110

本門法華宗管長飯高日享宛

首題ノ件ニ関シ十一月二十四日附宗第

一一号ヲ以テ御回答ニ対シ尚ホ左

記ノ廉及御問合候

一 前川妙順ニ対シ訓義ノ教職ヲ与ヘ

タルハ師僧ノ申請ニ依リ行賞ヲ以

テ宗規第十四号第二條ニ依リ一級

ヲ超越シタルモノナル旨御申越ノ処

右ハ宗規第十四号賞罰條例第

一條中ノ何レノ項目ニ擬当セラレタル

0111

モノナルヤ

右御回答相成度候

追テ前川妙順ニ対シ行賞ヲ具申

シタル同人師僧ノ申請書写御

回送煩ハシ度申添候也

0112

(参照)

本門法華宗

宗規第十四号

賞罰條例

第一章 褒賞

第一條褒賞ヲ行フヘキ行為ノ概目左

ノ如シ

一社会ノ公益ヲ計リ宗風ヲ振起セシ者

一徳行抜群他ノ模範タル者

一与学布教ニ顕著ナル功績アル者

一宗務ニ鞅掌シ功労顕著ナル者

0113

一寺院又ハ教会所ヲ建立シ維持保存ノ方

法ヲ確立セシ者

一布教費又ハ教育費ヲ献納セシ者

第二條褒賞ハ一等二等三等トシ僧

侶ニハ一等ハ教師等級一級又ハ二級ヲ昇叙

シ二等ハ上級法衣着用ヲ認許シ又ハ賞品ヲ授

与シ三等ハ法衣又ハ賞詞ヲ与フ

檀家信徒ハ一等ハ法名ヲ授与シ二等ハ

賞品ヲ授与シ三等ハ賞詞ヲ与フ

0114

乙号

大正十五年十一月二十四日

本門法華宗管長飯高日享代理

宗務総監僧正三吉顕隆

朝鮮総督府学務局長李軫鎬殿

尼僧前川妙順身分資格ニ就キ回答

本年十一月十二日附ヲ以テ御照会相成候前川妙順身分

資格ニ関シ御照会ノ件左記御答申上候

一、本人ニ僧侶ノ分限ヲ与ヘタルハ既ニ日蓮宗ニ於テ僧侶ノ分限ヲ

与ヘ四級試補ニ叙セラレタル者ナルニ依リ帰伏僧トシテノ取扱ヒノ慣例ニ

依リタルモノナリ即チ大本山光長寺ヨリノ編入願ニ対シ本宗僧籍ニ

編入シ同時ニ日蓮宗四級試補ニ相当スル本宗教師補ヲ授

0115

ケタルモノナリ

二、帰入ヲ許シタル関係文書(第一号第二号御参照被下度候)

三、日蓮宗ヨリ帰入シタル者ナルヲ以テ従前ノ教職ニ相当スル教師

補ヲ与ヘタルガ教会所ノ新設及信徒ノ増殖ニ付キ師僧ノ申請ニ

依リ行賞ヲ以テ宗規第十四号第二條ニ依リ一級ヲ超越シ訓

義ヲ与ヘタルモノナリ

右及御回答候也

0116

写第壱号書

印可

本門法華宗 前川妙順

入寺昇堂令交衆畢

大正十五年二月五日

大本山光長寺

0117

写第弐号書

僧籍編入願

拙山末常唱院住職山田日要徒弟

前川妙順儀本月五日付ヲ以テ入寺

許容致候條貴庁僧籍ヘ御編入相

成度此段及申請候也

大正十五年二月七日

光長寺住職

大僧正木村日舜

本門法華宗管長

大僧正飯高日享殿

0118

朝鮮総督府御中

0119

東京市本郷区駒込浅嘉町七十五番地

本門法華宗宗務庁

電話小石川三八〇三番

振替口座東京二七八三九番

大正 年 月 日

0120

甲号

尼僧前川妙順ノ身分資格

證明ニ関スル問合ノ件

朝鮮総督府学務局長

東京市本郷区駒込浅嘉町七十五番地

0121

本門法華宗管長飯高日享宛

本年九月八日附ヲ以テ貴宗静岡県

駿東郡足柄村常唱院住職山田

日要徒弟前川妙順ニ対シ交付相

成タル同人ノ身分資格證明ニ関シ

左記ノ廉々不審ニ付及御問合候

一前川妙順カ布教届書ニ添付シテ本府

ニ提出シタル同人ノ修行履歴書ニ

依レハ宗規第七号僧侶及教師分

限條例第二條ニ定ムル尋常小学

0122

校全科卒業若クハ同等以上ノ学力ヲ

有スル者ト認メ難シ然ルニ前川妙順

ニ対シ僧侶分限ヲ与ヘラレタルハ如何

ナル事理ニ基クヤ承知致度

二前川妙順ヨリ提出セル履歴書ニ依レハ

同人ハ大正十五年三月二十九日以前ハ日

蓮宗所属ノ尼僧ナリ依テ貴宗宗

規第七号僧侶及教師分限條例

第六條ノ規定ニ依リ帰入ヲ許シタル

関係文書ノ謄本御送付アリタレ

0123

三他宗派ヨリ帰入シタル尼僧ヲ即日

教師補ニ補命シ而シテ五月二十一日ニ

至リ一級ヲ超越シテ訓義ニ補命

シタルハ教師ノ補任昇級ノ宗規

ニ適合スルモノナリヤ

右御回答有之度候也

追テ貴宗朝鮮布教管理者ハ本

文ノ質問ニ対シ他宗派僧尼ノ帰

入ヲ許シ及教師ノ補任昇級等

ハ総テ管長ノ権限ナル旨ヲ以テ

0124

一モ答弁ヲ為ササルニ依リ本件処

理上支障少ナカラス茲ニ及照会

候儀ニ有之候