曹洞宗朝鮮布教法変更認可申請ニ関スル件Ⅱ-㊳0234~0253

0234

発送先

東京市芝区

新堀町三六

曹洞宗宗務

院管長宛

曹洞宗朝鮮布教法変更認可

申請ニ関スル件

指令案

曹洞宗管長北野元峰


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昭和四年三月二十九日附申請曹洞宗朝

鮮布教法変更ノ件許可ス

年  月  日

朝鮮総督


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理由

本件ハ布教規則第三條ニ依リ認可ヲ受

クベキ宗制ノ一部分トシテ且布教管理者

ノ権限並布教者監督ノ方法ヲ規定シ大

正五年ニ認可サレタルモノナルモ時代ノ趨

勢ニ鑑ミ該規定ヲ別紙申請ノ通変更


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セムトスルモノニテ他ニ別段ノ支障ナシト認

メ前記指令案ノ通認可相成可然

哉仰高裁


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参照 旧規定

朝鮮布教規定制定  大正五年十二月二十七日

宗規第三十六号

今般曹洞宗朝鮮布教規定左記ノ通制定シ曹洞宗議

会ノ協賛ヲ経且朝鮮総督ノ認可ヲ得タリ依テ茲ニ

之ヲ発布ス

従前ノ曹洞宗朝鮮開教規定ハ之ヲ廃止ス

曹洞宗朝鮮布教法

第一條 宗務院ハ朝鮮各道枢要ノ地ニ寺院及布

教所ヲ設置シ左記各号ノ事業ヲ挙行ス

一 文武官僚及移住者ニ布教スルコト

二 軍隊ニ布教スルコト

三 朝鮮人官民ニ布教スルコト


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四 必要ニ応シ教育機関ヲ設ケ移住者及朝鮮

人ノ子弟ヲ教育スルコト

第二條 朝鮮ニ布教管理者一名布教師布教師補各若干

名ヲ置ク

第三條 布教管理者ハ総督府所在地ニ駐在シ宗務

院ノ命ヲ承ケ各寺院布教所及布教者ヲ監督シ布

教ノ事業ヲ統理ス布教師及布教師補ハ寺院ニ住職

シ又ハ寺院若クハ布教所ニ駐在シ宗務院及布教

管理者ノ指揮ヲ承ケ布教ノ事業ヲ掌理ス

第四條 宗務院ハ前條ノ外臨時布教師ヲ特派シ

各寺院及布教所ニ巡教セシムルコトアルヘシ

第五條 布教所ニシテ維持独立ノ基礎確立セルモノハ


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漸次寺院組織ト為スモノトス

前項ニ依リ寺院組織ト為ストキハ総テ両本山直末

トス但シ宗費ノ補助ヲ仰カスシテ独立経営セル寺

院ハ創立者ニ於テ曹洞宗寺院法第二十六條ニ依

ルコトヲ得

第六條 従前本宗僧侶又ハ信徒ノ独立経営ニ依ル布

教所ハ其ノ志望ニ依リ之ヲ変更シテ宗務院ノ直

営ト為スコトヲ得

第七條 宗務院ハ朝鮮言語ニ通達スル布教師養

成ノ目的ヲ以テ其ノ語学研究生若干名ヲ養成ス

第八條 管理者及布教者職務章程語学研究生

選抜方法及此ノ本法ノ施行ニ要スル諸般ノ規則ハ


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宗令ヲ以テ別ニ之ヲ定ム


0242

教第二九号

昭和四年六月二十二日

曹洞宗務院教学部長 織田活道 印

朝鮮総督府 学務局長殿

朝鮮曹洞宗布教法変更ニ関シ御照会ニ対スル回答ノ件

一、第六條中「其ノ管理スル寺院ノ」ノ九字ヲ削除シテ認可セラレタシ

一、第一七條ノ宗費賦課時期尚早ノ件ハ近来朝鮮本宗寺院ハ漸ク経済的ノ基礎堅固ト

ナリ其勢力モ従前ヨリ拡大セシ結果種々ノ権利ヲ主張スルニ至レリ之レ時代ノ然

ラシムル所ナランモ早晩之ヲ認メサルへ~サルヲ感ス

権利ヲ認ムルニハ義務ヲ負ハシメサルへカラス之レ本條ヲ設ケシ所以ナリ

然レトモ実際宗費賦課ハ殆ント名ノミニシテ其賦課率タルヤ軽徴ニシテ問題トス

ル程ノモノニ非ス反ツテ之カ為ニ布教所ノ獲得スル利益ノ甚大ナルヲ思惟ス

右ノ次第幸ニ原案ノ儘認可セラレタシ  以上


0243

曹洞宗朝鮮布教法変更認可申請

現行曹洞宗朝鮮布教法ハ大正五年度ニ於テ御総督ノ認可ヲ得テ実施シテ爾来相当ノ成績ヲ

挙ケ候モ半島ノ形勢昔日ト異ルモノアリ宗門又制度ヲ更メ教線ヲ拡張シ内地ヨリノ移住

者及朝鮮民衆ノ教化ニ■■セル布教師ヲ保護督励スル必要上別記ノ通リ本法ヲ改定シ宗

会ノ協賛ヲ経候條特別ノ御詮議ヲ以テ至急御認可被成下度此段申請仕候也

昭和四年三月二十九日

曹洞宗管長 北野元峰 印

朝鮮総督 山梨半造殿


0244

曹洞宗朝鮮布教法

第一條  宗務院ハ朝鮮各道枢要ノ地ニ寺院及布教所ヲ設置シ布教ノ拡充ヲ企画ス

第二條  朝鮮ニ布教管理者一名布教師布教師補若干名ヲ置ク

第三條  布教管理者ハ両本山京城別院ニ駐在シ宗務院ノ命ヲ承ケ各寺院布教所及布教者

ヲ監督シ開教及布教事務ヲ統理ス

第四條  布教管理者ハ両本山京城別院ノ院務ヲ兼摂ス

第五條  布教管理者ハ教線拡張ノタメ毎年成ルヘク参箇所以上ノ開教適地ヲ選定シ布教

師ヲ派シ開教ニ従事セシムヘシ

第六條  布教管理者ハ朝鮮在来ノ僧侶ヲ招徠教育シ其ノ管理スル寺院ト本宗トノ関係ヲ

密接なラシムヘシ

第七條  宗務院ハ総督府各道庁所在地其ノ他枢要ノ都市ノ寺院ヲ曹洞宗特別寺院法第七條ニ依ル両本山直末寺院トス

第八條  両本山直末寺院ノ住職ハ管長之ヲ特選ス

第九條  両本山直末寺院ノ住職ハ他ノ寺院住職タルモ妨ナシ

第十條  両本山直末寺院ノ位置寺号ハ宗令ヲ以テ之ヲ告示ス

第十一條 両本山直末以外ノ寺院ハ曹洞宗特別寺院法第八條ニ依ル一般寺院ト看做ス

第十二條 前條寺院住職ノ任免ハ曹洞宗寺院住職任免法ヲ適用ス

第十三條 宗務院ハ朝鮮ニ於テ開教及布教ニ従事シ又ハ従事セントスル者ノ履歴ヲ調査

シ布教師及布教師補ノ辞令ヲ交附ス

第十四條 宗務院ハ新ニ着手スヘキ土地ニ駐在シ開教ニ従事セル布教師ニ対シ其ノ難易

ヲ計リ朝鮮開教費中ヨリ当初一年間若干ノ衣費ヲ補給ス

第十五條 新寺創建ノ目的ヲ以テ布教所ヲ設置シタルトキ及新寺ヲ創立シタルトキハ朝

鮮開教費中ヨリ一回限リ若干ノ補給金ヲ交附ス

第十六條 創立シタル新寺及布教所ニハ寺号公称又ハ設立認可ヲ得タル年ヨリ満十箇年

間宗費ノ賦課ヲ免除ス但シ宗門全般ニ係ル寄付金並慶弔費金両本山ニ対スル特殊ノ

納金及地方費ハ此限リニアラス

第十七條 設立認可後十年満了ノ寺院及布教所ニハ曹洞宗寺院級階査定法ニ準拠シ相当

ト認ムル級階ニ編入シテ宗費ヲ賦課ス

第十八條 新寺創立者ニシテ当該寺院ニ住職スルトキハ教師検定及住職ニ関スル義財ヲ

免除ス


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第十九條 新寺創立者未転衣ニシテ転衣ヲ出願スルトキハ其ノ義財ヲ免除ス

第二十條 僧侶及檀信徒ニシテ開教及布教ニ関シ特殊ノ功労アル者ニハ相当ノ■■ヲ行フ

第二十一條 正当ノ理由ナクシテ寺院又ハ布教所ノ創設ヲ阻■シ又ハ布教ヲ妨害スル者

アルトキハ曹洞宗憲戒法ニ依リ之ヲ処■ス

第二十二條 宗務院ハ臨時布教師ヲ特派シ各寺院及布教所ヲ巡回セシムルコトアルヘシ

第二十三條 本法施行ニ要スル附則ハ宗務院ニ於テ別ニ之ヲ定ム


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(発送先)

東京市芝

区新堀町

三六

曹洞宗

宗務院

管長宛

曹洞宗朝鮮布教法変更

認可申請ノ件照会

(対三月二十九日附申請)

学務局長


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曹洞宗管長宛

首題ノ件監督上必要ニ付左記ノ廉

再考相成リタク別紙申請書一

応返戻ス


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一曹洞宗朝鮮布教法第六條ヲ削

除スルコト中「其ノ管理スル寺院ト本宗トノ関係ヲ密接ナラシムベシ」ノ規定ハ

朝鮮寺刹ハ各寺共ニ於ケル古来ノ本末関

係ヲアリテ自ラ統制ヲ有スルモノナル

ガ故ニ朝鮮在来ノ僧侶ヲ招徠教育


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シタル緑故ヲ以テ当該寺刹ト曹

洞宗トノ関係ヲ密接ナラシムルコ

トハ他日紛擾ヲ醸紊ス因トナルベキ

保シ難キニ付本条ハ処アルニ付之ヲ削除スル

ヲ穏当ナリト認ムコト


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一同法第十七條ヲ削除スルコトニ依リ

設立許可(認可ニアラズ)又ハ届出

後十年満了ノ朝鮮ニ於ケル寺院及布教所ニ

宗費ヲ賦課スルコトハ此ノ種寺院

又ハ布教所ニシテ従来ノ例並現在ノ教勢ニ徹シ往


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々維持困難ニ陥ル場合少ナカラザ

時期尚早ト認メラルルニ付十年満了ノモノト雖宗費ヲ

賦課セザルコトニ考慮セラレタシ

以上


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理由

本件ハ曹洞宗朝鮮布教法ハ布教

規則第三條ニ依リ認可ヲ受クベ

キ宗制ノ一部分トシ且布教管理者

ノ権限及布教者監督ノ方法ヲ規定


0253

シテ大正五年ニ之ヲ認可シタルモノナル

モ時代ノ趨勢ニ鑑ミ該規定ヲ変

更セムトスルモノナルモ同法第六条及第

十七条ハ弊害アルモノト認メ削除方一

応再考セシメラレ可然哉