top of page

記事題目

「佛敎大會東上運動に就いて」

作者

佛敎大會常務理事 李元鍚

雑誌名

『朝鮮佛敎』

号数等

9~11

年月日

1925年1~3月

本文

(一)私は朝鮮佛敎大會の使命を帶び昨年の七月十二日京城驛を出發して東上の途に向かいました昨年の春東上の時はたゞ佛敎大會の趣旨を各方面に宣傳して賛成を得て來たが今度は實行の爲め東上するのであるから何な方法が善いかと千思萬慮をした之れはどうしても自分の力では足らない佛敎の加護を得なければならねと考へがついて運動の成功は佛敎に任かした二十四日の朝大阪驛に到着し同行の佛敎大會小林源六氏は郷里の參重縣津市に向ひ私は京都清水寺に向つた、この夜清水寺に大西大僧正を訪問した大僧正は熱心に佛敎大會を賛成し深く私に同情非常に喜で歡迎した私は本會の實行運動の爲め東上した事情を詳く話した翌日東本願寺の寺務總長安田力師を訪問した師は本會の趣旨に賛成し留學生養成問題を先きに主唱した御方である留學生の問題に付き參十分間交話して歸つた其の翌日中外日報社を訪問して倉光活文氏に面會した同氏は本會を熱心に賛助する御方で私を非常に歡迎した東上の事情を大概話して一緒に佛敎聯合會主事木下寂善氏を訪問して本會の財團法人の事を話したが同師の話では東京を先きに着手する方が善いと云はれた私の考へよりも元より東京を先きに着手する積りであるから其の夜京都驛を出發して東京に向つた翌朝東京驛に到着して芝公園增上寺法主道重信敎師を訪問した同師は元より佛敎大會を賛助し私の懇意の間である私に會ふて非常に喜で嬉しい心持で數月の阻懐を話し私は本會の東上運動の目的を話して一言の上一心協力する事を承諾した又增上寺の執事長窪川旭丈師に面會した同師も矢張り本會の趣旨に賛成し私に同情の深い御方で非常に歓迎した東上の目的を話して一心協力する事を承諾した私はいよゝ因緣の深い參緣山(增上寺)に宿る様になつた浄土宗の大本山たる增上寺の後援を得又道重大僧正及び佛敎聯合會主事窪川旭丈兩師の熱烈なる御援助を得て各方面の運動を始むることになつた。(未完)
(二)其時丁度本會の常任理事中村健太郎氏が同民會の要務を帶び東上滞在中である同氏に私を增上寺に訪問した兩人が相逢ふて非常に嬉しい心持で阻懐を話した且私は本會の東上運動の目的を話したら同氏非常に喜んで賛成した私は同民會の運動經過を聞いて見ると同氏は曰く同民會の運動は大分成績は善いが未だ結果が出來ないので困ると言ひました私は同氏の話を聞いて東京の景氣で金の運動は困難であるかと感じました其夜同氏と別れて增上寺に投宿した翌朝下村宗敎局長を文部省に訪問した宗敎局長は私が春東上した時より佛敎大會の趣旨を賛成し私を援助した御方である今度私が東上した目的を話し本會の事情を詳しく述べると同氏は非常に喜んで援助することを承諾した同氏の紹介にて翌日岡田文部大臣を訪問した文部大臣は私を非常に歓迎した私は朝鮮事情と佛敎大會の趣旨を話したら文部大臣は非常に賛成して援助することを承諾した私は又文部大臣に加藤總理大臣に面會する様に紹介を願つて歸つた翌日增上寺法主道重信敎猊と同行して加藤總理大臣を永田町官邸に訪問した其時丁度岡田文部大臣も出席して私共四人が一室内に會ふて始めて面會の挨拶をして私は總理大臣に向つて朝鮮事情を話した朝鮮は昔より歴史上から見ても宗敎と政治と一致して民心を統一して來たが今では信敎自由と云ふて政治家は宗敎を度外視する爲め民心が悪化するのである尚ほ朝鮮は佛敎の力で民心を敎化せなければ統治精神に民心が歸一せないことを話した總理大臣は私の話しを聞いて非常に賛成して文部大臣に向つて可宜を與へて援助することを話し成便た文部大臣は賛成の意を以て沈默に聞いた道重大僧正は兩大臣に向つて話しをした道重大僧正は曰く私は元より朝鮮敎化の爲め心配して來たが今度李元鍚君と協力して朝鮮佛敎の爲め活動することを話した兩大臣は非ん常に善で御盡力を頼むと云ひました其日兩大臣に別れて道重大僧正と一緒に午後參時頃增上寺に歸つた其夜芝公園を散歩しながら東京運動の方法を色々考へて見た此の問題は政府勿論賛成するが實業家の賛助を得なければならぬと思ひました併し時は非常に暑い時分で實業家の有力者は皆避暑中であるから伺うしたら宜いかと考へた結果本會の顧問澁澤子爵を訪問して御援助を願はうかと思ひました同子爵は非常に忙しい御方であるから面會することも六ヶしいであろうし又は實際援助して呉れる様に特別に交渉せなければならぬと思ひました翌日下村宗敎局長を訪問して澁澤子爵に面會することを引受けて澁澤子爵と交渉することになつた其後宗敎局長は參日後澁澤子爵との面會の約束を私に知らせた。
(參)其の日に當て下村宗敎局長、古橋總督府事務官、道重信增上等法主、私共四人が澁澤子爵を自邸に訪問した同子爵は我等四人を歓迎して洋室應接室に案内した我等四人は同子爵の御親切なる待遇に頂り非常に喜ぶ心持で話を始まつた下村宗敎局長は曰く私は文部省を代表し古橋事務官は朝鮮總督府を代表し道重法主は内地佛敎各宗を代表し李元鍚氏は朝鮮佛敎大會を代表して四人が皆代表で閣下を訪問したことを話して朝鮮佛敎大會の爲め御盡力を願ひました繼いて私も朝鮮事情及び朝鮮佛敎大會の趣旨を話して御世話を願ひました同子爵は兩人の話を聞いて非常に喜で賛成して盡力することを承諾した同子爵は曰く近日の内に又一度各代表が集つて方法を相談することを話した我れ一同は賛成して又一度集ることを約束して歸つた其後私は本會の顧問徳川公爵及び清浦子爵を訪問して澁澤子爵に交渉した結果を話したら兩氏も非常に賛成して出席することを承諾した私は澁澤子爵に集る場所を交渉して翌日午後一時頃に東京銀行俱樂部に各代表七人が集ることになつた其日出席者は徳川公爵、清浦子爵、澁澤子爵、下村宗敎局長、道重增上寺管長、古橋事務官私共七人である一同は皆な佛敎大會財團法人組織するコトを一致可決した澁澤子爵は方法に就いて曰く日鮮懇話會と云ふ實業家團體があるから其會の後援を得る方が善いがと言ひました一同は皆賛成して日鮮懇會話の會員を一度集るコトを決議した一同は記念冩眞を撮影し散會した其後澁澤子爵は日鮮懇話會の會員に皆通知して東京銀行俱樂部に於て相談會を開しことになつた其日は清浦子爵、澁澤子爵、野中、朝鮮銀行總裁宮尾東洋拓殖會社總裁、道重增上寺管長、下村宗敎局長、古橋事務官、其外二十餘名が出席した澁澤子爵は開會辭を兼ね佛敎大會の趣旨を話して御援助を求めた繼いて私は朝鮮事情及本會の趣旨を話した一同は非常に賛成して援助することを承諾して實行委員を選定した結果澁澤子爵宮尾東拓總裁、野中鮮銀總裁參人が委員になつた實行の事は全部委員に任かして進行することになつた一同は紀念冩眞を撮影して散會した其後私は委員たる澁澤子爵及野中鮮銀總裁宮尾東拓總裁も始終交渉して早く進行することを頼みました或日は澁澤子爵は曰く近日の内に下岡政務總監が車上するから其時迄待て進行することを話した私も仕方なく下岡政務總監の東上する時迄待つことになつた其後下岡政務總監は東上した澁澤子爵は下岡政務總監を訪問して曰く内地では文科省及各宗佛敎全體實業家が熱心に佛敎大會を賛助するが朝鮮總督府では何の程度まで佛敎大會を援助するかと尋ねた下岡政務總監は曰く私は參日間位研究して返事すると答へた私は澁澤子爵を訪問して下岡政務總監交渉の結果を聞いて非常に煩悶した早く進行するのを待て居るのに下岡政務總監が承諾せないと遅れるから大變心配した私は下岡政務總監を訪問して内地運動の状況を報告して早く賛成して承諾することを求めた下岡政務總監は曰く私も賛成するが方法に就いて研究するんたと言ひました私は仕方がなし早く承諾することを頼で返つた私は種々考へた結果小林理事へ電報を打つて小林理事は私の電報を見て中村理事と同伴して東上することになつた私は萬事を一人で心配したが小林理事中村理事に遇て非常に喜で内地運動の經過を話し私の心を慰安した之れからは參人が協力して運動始をめた

bottom of page