top of page

植民地朝鮮の日本人宗教者
記事題目
「朝鮮佛敎の競争」
作者
雑誌名
『中外日報』
号数等
年月日
1916年4月28日
本文
▲朝鮮各宗の醜劣 佛敎各宗の競争、門徒の取合の醜劣なとに至つては殆ど成つて居らぬ彼の地は東本願寺が一番早く手を附て開敎に着手し各宗に率先して寺院を建て説敎所を新築して居留民の布敎をなしたり、故に當時は佛敎の寺院と云へば東本願寺に限つたものであつた其後浄土宗が開敎に行く、曹洞宗が着手する參十七年戦役以來西本願寺が全力を此地に擧げて開敎する、今は天理敎、金光敎、真言、日蓮、禅宗殆ど總べて宗敎を網羅することに成つた、而も開敎の模様を聞くに各宗共に宗門帳なるものを作つて居留民の中を駆け廻つて本國の宗旨と所属寺を調べて若し自分の宗旨の者でもあれば其信仰如何抔頓着せない、直ちに自分の宗門帳に記入して仕舞ふ、此れを日蓮が遣れば、浄土宗が遣る、西本願寺が真似れば各宗悉く此手法を遣つたもの故に一番門徒の多かつた大谷派が漸次取られて仕舞つて反対に一番少く成つた朝鮮に移住して居る人は多くは中國九州の海岸に添ふ土地の人が多い、而してこの海岸線の多くは西本願寺の門徒である、従つてその移住者は西本願寺の門徒の人が多くて東本願寺の人は少い、一旦宗門帳を廻されると云ふと元の西本願寺に成ることは止むを得ざることである、處が此に面白い話は各宗共に斯う云ふ寸法に依つて集めたことは集めて見たが、布敎も餘りせぬ宗派にては説敎所の維持に困難して説敎所を浄瑠璃の會や其の他に賃貸して居る向も少くないといふ。
bottom of page