top of page

記事題目

「現今の宗敎問題(六)伝道の不振」

作者

雑誌名

『明敎新誌』

号数等

年月日

1896年11月12日

本文

台湾伝道は刻下の急務なり、しかも本山は紛擾の爲めに目をこれに注ぐに由なく、布敎師をして空しく嘆嗟の辞を發っせしむることあらざるか、或は海外萬里、財源盡きて進退維れ谷るものあざるか、或は布敎師、其人を得ずして宗の威信日に減ずるものあらざるか、實際布敎に於て萎靡不振の状を呈する今日より甚しきはなし、況むや、各宗布敎師間に軋轢を生じて被敎者を適歸する所を知らざらしむるに至るの事あるをや、現に台湾に於て真宗の布敎師と曹洞宗布敎師との間に相反目することあらざるか、朝鮮伝道に於て日蓮宗と真宗と相争ふことはあらざるか、其の此の如くならしむるもの實に各本山及び各宗協會の制度其の宜しきを得ざるに坐するなきか、吾人は各宗の一致運動を喜ぶものなり、一致の孤立に優る多きを信ずるものなり、日本的佛敎伝道として朝鮮に於て台湾に於て、相一致する能はざるか、道徳勧誘として軍隊布敎に於て監獄敎誨に於て各宗は相提携する能はざるか、かゝる事を相談じ相議す各宗協會の目的にあらざるなきか、よしかゝる事は到底出來難しとするとも、各宗をして相互に其の事業を妨げしめざるやうになす能はざるか、或は台湾伝道は曹洞宗これが専任たらしめ、朝鮮伝道は日蓮宗これに當り、露西亜伝道及び内地に於ける監獄敎誨は真宗これが任たり、布哇宣敎は浄土宗、軍隊布敎は真言宗と云ふ如く部署を分ちて行く能はざるか、即ち異なる方面に於て其の光輝を發揚し、同一方面に於て相争ふ愚を去る能はざるか、今日のまゝにては各宗の伝道も亦た萎靡不振たるを免れず、

bottom of page