top of page
植民地朝鮮の日本人宗教者
布教管理者選任方ニ関スル件㊿0022~0044
0022
大正十二年七月廿五日
布教管理者選任方ニ関スル件
通牒案
政務総監
朝鮮布教神仏道各宗派管長宛
0023
(宛先別表ニ依ル)
首題ノ件ニ関シ大正参年十月廿七日朝
鮮布教管理者解任ノ必要相生シ候
節ハ予メ本府ニ御協議ノ上御決定
相成度キ旨内議申進メ置候處今般
右内議手続廃止候ニ付爾今布教管
理者変更ノ場合ハ内議ニ及ハス布
教規則第参條ニ依リ認可申請相
成候様致度此段申進候也
0024
起案ノ理由
左記理由ニ依リ本案仰高裁候
一、本件通牒原議ハ大正四年八月府
令第八十参号現行布教規則施行
以前ノ旧規則明治参拾五年統監府
令第四十五号宗教ノ宣布ニ関スル規則
施行当時大正参年六月ノ御通牒ニ
係ハリ爾来此ニ依リ神仏道各宗派
布教管理者ノ変更ハ正式認可ノ手
0025
続以前管長ヨリ後任者選任ニ関シ内
議ヲ徴シ来レルモノナルガ右ハ旧規則施
行当時ノ令規ニシテ現今尚之ヲ適用
スルモ別段不法ノモノニアラズト雖原議通
牒起案理由ニ徴スルニ「宗教ノ宣布ニ関
スル規則中布教管理者選任ニ関シテ
ノ規定アルモ解任ニ関シテハ何等ノ規定
ナキヲ以テ縷々交代ヲ見ルガ如キコトア
リ斯クテハ布教上遺憾ノ点モ可有之
ト認メラルゝニ付予メ注意ヲ促シ置クノ
0026
要ヲ認ムレトナシ以テ内規ノ必要アリト
ナシタルモノナルガ而モ翌年四月現行布
教規則発布ノ際之ニ関スル規定ノ設
ケラレザリシヲ以テ見ルモ必要ノモノナリ
トナス能ハサルノミナラスカゝル補充的令
規ノ必要ハ他ニ之ヲ認ムルノ理由ニ無之キ
モノアリ
一、本件原議通牒ハ一ノ内規ニシテ
当時ノ立案理由モ単ニ予メ注意ヲ促
シ置クノ要ヲ認メタルモノニ過ギス之ニ違
0027
反スルモ必ズシモ認可ノ拒否理由トナス
能ハザルモノニシテ権威アルモノトイフ
能ハス
一、而モ之レアルガ為メニ布教管理者
選任ニ関シ宗門内ニ紛議アル場合ノ
如キ稀有ノ事例ニ属スト雖モ亦本件
原議通牒ヲ悪用シテ事瑞煩累ヲ
釀サシムル虞ナシトセス
一、本件原議通牒ノ貫徹ハ之ヲ以
テ宗門管長ノ権限ニ制限的作用ヲナ
0028
スモノナルヲ以テ必要欫クベカラサルモノナ
ランニハ之ヲ規則ノ正條ニ規定スヘク然
ラスンハ斯ル内規ノ如キハ寧ロ之ヲ廃
シテ布教管理者選任ハ宜シク当該
宗門管長ノ権限ヲ全カラシメ之ニ対シ
十分ノ責任ヲ有セシムルヲ妥当ナリト
スヘシ
一、布教管理者ノ在任期間ハ実績ヲ
列記シタル別紙調査書ニ徴スルモ原議通
牒立案理由ニ記載スル「縷々交代ヲ見
0029
ルガ如キコトアリテハ云々」ノ如キ懸念
ナキモノト認ム
一、前管理者ノ死亡ニヨル新任管理
者選任ノ場合ノ如キモ原議通牒ニ依
リ従来内議ヲ要シタルモノナルガコノ如キ
場合ハ原議立案理由ト全ク交渉ナキ
モノナルモ而モ内規ノ存在スル以上無用煩
雑ノ照覆ヲ履行セサルヘカラサル不便
アリ
一、交代ノ頻繁ニシテ布教上遺憾
0030
点アル場合其ノ他必要ニ依リテハ現行布教
規則第四條
朝鮮総督ハ布教ノ方法、布教管理者
ノ権限及布教者監督ノ方法又ハ布教
管理者ヲ不適当ト認ムルトキハ其ノ
変更ヲ命スルコトアルヘシ
ノ正條ヲ適用スヘク必スシモ本件原
議通牒ノ如キ内規ヲ要セス
以上
0031
以下参考書類
0032
写
大正参年原議
写
布教管理者選任方ニ関スル件
政務総監
朝鮮布教各教宗派
管長宛(別紙ニ依ル)
0033
教義宣布ノ為メ朝鮮ニ派遣セラレ居候布
教管理者ヲ屡々交代セシメラルルノ向モ有之候處
斯クテハ自然朝鮮内ノ事情ニ精通スルコト能ハス
従ツテ布教上遺憾ノ点モ可有之ト被存候條管
理者選任ノ上ハ可成長ク留任セシメ深ク民情風俗
ヲ査察精通セシムル様致度尚向後右解任ノ
必要相生シ候節ハ予メ本府ニ御協議ノ上
御決定相成様致度此段申進候也
0034
理由
朝鮮布教管理者選任ニ関シテハ「宗教ノ
宣布ニ関スル規則」中規定アルモ解任ニ関シテハ
何等ノ規定ナキヲ以テ屡々交代ヲ見ルカ如キコトアリ
斯クテハ布教上遺憾ノ点モ可有之ト認メラルルニ
付予メ注意ヲ促シ置クノ要ヲ認メ本案ヲ草ス
0035
神道仏道各教宗派布教管理
者変更調(大正十二年七月末)
教派名 布教管理者 在勤期間 現任者在任期間 変更事由
金光教 中村武章 二年四月 辞職
高橋茂久平 八年 〃
生沼萬壽吉 六年一月
神理教 谷口茂市 十五年七月 辞職
渡邊弘 一年十ヵ月
大社教 廣瀬玄鋹 十年 辞職
大谷豊太郎 五年一月
0036
天理教 松村吉太郎 七年三月 辞職
上田民藏 三年七月 〃
春野喜市 二年十月 〃
澤田善次郎 一年四月
扶桑教 田中成一郎 三年一月
実行教 森岡良作 三年三月
真宗 熊谷亮照 一年九月 辞職
佛光寺派
窪田信明 八年二月
真宗 土屋法潤 二年一月 更送
大谷派
龍山厳雄 二年九月 〃
0037
長谷得静 一年六月 〃
廣陵了賢 一年八月 〃
大幸頓慧 三年五月 〃
溪内弌恵 五年五月
真宗 大谷尊寶 二年三月 更送
本願寺派
大谷尊由 二年二月 〃
大洲鐵也 三年三月 辞職
松原含藏 八年十月
浄土宗 井上玄真 六年五月 死亡
久家慈光 三年二月 更送
0038
浄土宗 廣安真髄 三年十一月 更送
久家慈光 二年十一月
曹洞宗 長田観禅 一年六月 更送
武田範之 一年七月 〃
田中道圓 一年九月 〃
北野元峰 三年十月 辞職
高田穎哉 三年九月 〃
杉本道山 一年十月 〃
中村軌宗 一年六月 〃
五十嵐絶聖 十月
0039
新義 見田政照 十六年五月
真言宗智山派
日蓮宗 加藤清亮 五年九月 更送
杉田日布 三年六月 〃
加藤清亮 二年九月 辞職
渋谷文英 九月 〃
逸見通漢 三年十一月
法華宗 澤日遠 二年七月 更送
田邊感善 六年五月 〃
田邊行穩 一年二月 辞職
岩富善澄 六年二月
0040
臨済宗 圓山太嶺 一年三月 更送
妙心寺派 古川大航 三年三月 〃
後藤瑞巌 九年三月
真宗 法水智敎 三年四月 辞職
山元派 法水法運 七年七月
新義真言宗 三宮隆晃 九年四月
豊山派
真言宗 澤光範 七年六月
各派連合
本門法華宗 明田現学 七年四月
臨済宗
東福寺派 後藤瑞巌 五年九月
黄檗宗 〃 三年十月
0041
顕本法華宗 横山恵正 一年二月
真言宗 平野亮禅 四年九月 退任
醍醐派 澤光範 六年十月
0042
発送先
岡山県浅口郡三和村金光教本部 金光家邦
福岡県企救郡企救町神理教本院 佐野伊豆彦
島根県簸川郡杵築町大社教 千家尊有
奈良県山邊郡丹波市町天理教々庁 中山正善
東京府荏原郡松澤村松原扶桑教太教庁 管長事務取扱
岡次郎太郎
東京市牛込区東五軒町三八 柴田孫太郎
神道実行教本庁
京都市下京区烏丸通七條上ル 大谷光演
真宗大谷派寺務所
京都市下京区堀川通西本願寺執務所 大谷尊由
東京市芝区芝公園第十五地四番 山下現有
浄土宗々務所
0043
東京市芝区新堀町曹洞宗々務所 北野元峯
東京市芝区愛宕町ノ四新義真言宗智山派 武藤範秀
東京市芝区二本榎本町一丁十五番地 磯野日筵
日蓮宗々務所
新潟県南浦原郡本成寺村法華宗々務所 津田日彰
京都府葛野郡花園村妙心寺派教務本所 関盧山
京都市下京区本町十五丁目東福寺派 廣田慈教
宗務本院
京都府宇治郡宇治村萬福寺内 隆琦大雄
黄檗宗々務本院
和歌山県伊都郡高野村大字高野山 瀧池密雄
真言宗各派聯合法務所 土宜法龍
京都府宇治郡醍醐村真言宗醍醐派 平野亮禅
恵印部宗務庁
京都市下京区新開町真宗 渋谷隆教
佛光寺派寺務所
0044
福井県今立郡新横江村 藤原善寶
真宗山元派寺務所
東京市小石川区大塚坂下町十七 廣瀬賢信
新義真言宗豊山派宗務所
東京市本郷区駒込浅嘉町七五 尾崎日暲
本門法華宗々務所
京都市上京区椹木町 本田日生
顕本法華宗務所
bottom of page