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敢て知る事能ハずと雖も釋迦も初より此言を以て我一身

の意志を吐露したる者に非ずして或ハ世間衆生の心中を

穿ちたる者にハ非ざるかと思ハるゝなり兎に角吾人に唯

我獨尊の念あるより世上に現ハるゝ所の顯像尠からず就

中政黨の起る所以亦此に非ずんハあらざる也

今姑く身を世間外ニ置き廣く政治世界の狀態を瞰下すに

先づ第一に吾輩の眼に觸るゝ者ハ在朝黨と在野黨との區

別なり此兩黨間の相違ハ實に甚き者にて一ハ守るを以て

其主義と爲し又一ハ攻るを以て其主義と爲し常に水火の

勢を爲して時に或ハ軋轢の不幸を見ること全く無きに非ざ

るなり又眼を轉じて此の兩黨の各個に注視する時は同く

攻るを以て其主義と爲せる在野黨中には公然黨を分ちて

相敵視し又同く守るを以て其主義と爲せる在朝黨に於て

亦隱然數派の黨を爲せる恰も大海に舟を泛べて既に舵を

採り舟を行るの船頭は其舟中の舟子に妨げられて充分に

舵の方向を一定する能はざるに際し前に之が爲に海中

に投棄されたる數多の舟子は舟の前後左右を圍繞して舟

の進行を妨るに異らず唯玆に一の奇觀といふべきは同じ

く舟の進路を妨礙する所の舟子にして其間常に一樣の運

動を爲すこと能はず各人各異の方向に向て或は前より或は

後より或は右より或は左より思ひゝゝに舟を衝くを以て

其力互に相平均殺除して遂に水泡に歸する者多き之なり

夫れ此の如く各々其主義方向を異にして互に勝敗を爭ふ

者は何故ぞや蓋し其目的ハ皆國家の利益を計り民人の幸

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