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吾國後來の產業を委任するに足るべしと思意すべきか必
ずや是等諸會社を危嶮當るべからざる一個の不德義なる
奸商の集合体たることを發見せん然れば此の如き會社の增
加は產業を害することを萬々なるも決して之れが進步を促が
すに足らざる者なり要するに斯く會社の盛に起りしは他
なし世の產業家が急激に國の產業を盛んにせんとしたる
者にして中に天保年間の無識卑劣奸商輩が此機に乘じ放
語大言世を瞞せんとしたるに因らずんばあらす余輩は實
に千万人の駄兵よりも百人の精兵を望む者なり基礎不定
の會社千百よりも其硬固なるもの一あるを撰む者なり故
に此等會社が一日も早く會社自らの爲め日本社會の爲め
に其跡を絶たんことを祈るものなり
吾國產業上の現象中主要なる者尚ほ一あり何ぞや曰く今
日產業の進步を促さんと欲するの餘り政府の保護政策を
採ること之なり抑も保護政策たるや皮相上より見る時きは
頗る產業の盛大を致す者の如しと雖も余輩ハ何故に保護
を爲し又之を仰んと欲するか其必要其理由を發見するに
苦しむ者也目下吾國資本に欠乏するを以て保護を仰がん
と欲するか余輩ハ之を信ぜざる者也余輩が言を疑ふ者あ
らば請ふ今日まで諸會社の株金申込の高を見て之を判せ
よ然れば今日に於て保護を仰ぐの必要絶てなきに非ずや
況んや元來政府の保護干渉なる者は堂々犯すべからざる
自然の大法に反する者なるをや況んや保護政策は不正、
偏頗、黨派的保護に陷り易く產業界を腐敗せしむる者な
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