top of page

1-25

吾國後來の產業を委任するに足るべしと思意すべきか必

ずや是等諸會社を危嶮當るべからざる一個の不德義なる

奸商の集合体たることを發見せん然れば此の如き會社の增

加は產業を害することを萬々なるも決して之れが進步を促が

すに足らざる者なり要するに斯く會社の盛に起りしは他

なし世の產業家が急激に國の產業を盛んにせんとしたる

者にして中に天保年間の無識卑劣奸商輩が此機に乘じ放

語大言世を瞞せんとしたるに因らずんばあらす余輩は實

に千万人の駄兵よりも百人の精兵を望む者なり基礎不定

の會社千百よりも其硬固なるもの一あるを撰む者なり故

に此等會社が一日も早く會社自らの爲め日本社會の爲め

に其跡を絶たんことを祈るものなり

吾國產業上の現象中主要なる者尚ほ一あり何ぞや曰く今

日產業の進步を促さんと欲するの餘り政府の保護政策を

採ること之なり抑も保護政策たるや皮相上より見る時きは

頗る產業の盛大を致す者の如しと雖も余輩ハ何故に保護

を爲し又之を仰んと欲するか其必要其理由を發見するに

苦しむ者也目下吾國資本に欠乏するを以て保護を仰がん

と欲するか余輩ハ之を信ぜざる者也余輩が言を疑ふ者あ

らば請ふ今日まで諸會社の株金申込の高を見て之を判せ

よ然れば今日に於て保護を仰ぐの必要絶てなきに非ずや

況んや元來政府の保護干渉なる者は堂々犯すべからざる

自然の大法に反する者なるをや況んや保護政策は不正、

偏頗、黨派的保護に陷り易く產業界を腐敗せしむる者な

bottom of page