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り今日吾國產業の進步せざる主要の原因も亦之れに外

ならず前已に論ぜるが如く天然の供給僅少なるに非ず資

本の不足なるに非ず只第一國人一般に學識に乏しき事第

二稅の重き事之れなり余輩請ふ之を論ぜん然れ共第二因

は保護政策より生ずる者たることは已に前述せるを以て茲

に之を省略し專ら第一因に就て所見を述べんとす

凡て奸商輩が今日まで吾國の產業を蹂躪し其不備を慟き

たる故は何ぞや今日ありて明日あるを知らず一日の利を

計て百年の大計を破り漸次諸外國に信用を失ふを顧みざ

るは無先見にあらずして何ぞや無先見は歸する所無學之

れなりこれ蓋し奸商輩のみに止まらず國人一般に學識を

欠げるに因る若し國人にして學識あらんには以上述べた

るが如き奸商の爲めに蹂躪せらるゝの憂なし否一般學識

あるに於ては此の如き輩社会に出没する能はざるなり此

場合に於ては奸商も乘ずるに機會を得ざるべければなり

然れども一般人民學識なきが爲め此機に乘じ不正の行を

以て賭博場裡に奔走し時に寄利を博するを得るのみ此勢

にして永く社會に橫はるあらんには吾國の前途實に思ひ

遺らるるなり此不德義は一方に旗を立て政府の保護政策

干渉主義は三方を指揮し來る產業社會も亦た多事なりと

謂ふべし國人たるもの憂ふくして可ならんや然れども此

等人物の教育を考察し彼等は封建時代の卑屈人種たるを

覺らば此の如き所業も深く咎むる能はざるを知らん

然れば今日余輩が當さに採るべきの方策ハ務めて實業界

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