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一步二步に漸く直く漸く夷く、行々重行々、竟に出で、平

 原に到れば天長へに地濶く、乾坤清澄、雙眸瀰茫、閃々た

 る希望の光明ハ早くも地平線上に掩映して、爾が目的す

 る個處の遠きに非ざるを豫報するならん、既に然り然ら

 ば則ち予輩ハ爾に餞するに陽關三疊の悲歌を以てせずし

 て凱旋勝利の頌詞を以てせんか、否々爾「日本人」ハ其目

 的と希望とを斐然成就したりてこそ、百曲千曲の凱歌を

 朗唱すべきも、今日ハ是れ爾が行路難にせば上途の期節

 にして、爾が軍旅にせば猶ほ戰場に行陣するの門出なれ

 ば、予輩ハ唯爾に勗るに克く天命を劍として戰ひ正義を

 銃として闘ひ、縱令刃折れ彈盡き斃而已むも偏に至理の

 犠牲となり、死後白骨の秋雨に暴露するも惡草をして漫

 に滋蔓せしめざらん事を以てする者なり

 「日本人」ハ若干の目的と幾多の希望とを懷抱すと、借問

 す爾が所謂目的と希望とハ何許にか在る、曰く

 當代ノ日本ハ創業ノ日本ナリ、然レバ其經營スル處、錯

 綜湊合、一ニシテ足ラズト雖モ今ヤ眼前ニ切迫スル最

 重最大ノ問題ハ、蓋シ日本人民ノ意匠ト日本國士ニ存

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