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記事題目

「佛敎大會實行案 細目に亘って決定す」

作者

雑誌名

『朝鮮佛敎』

号数等

8

年月日

1924年11月

本文

十月參十日文部省宗敎局に於ける各宗代表者會議に提議したる佛敎大會實行案は左の通りである。
一、組織の變更
本會を財團法人に組織すること
 財團法人の理事者は内鮮兩地の出資者中より撰定すること
二、人選
(1)本會の關係者より東京に於て主として實務に當るべき人を委囑すること
政府當路、宗敎家、實業家に對し常に本會を代表して折衝措辨する相當の權威者を置く事右の人選は文部省、總督府及び本會顧問の推薦に待つこと
(2)佛敎顧問の招聘
本會の事業を進展するため特に各宗代表者の推薦に係る高僧知識を佛敎の最高顧問として招聘せんとす盖し千參百年前高麗の惠慈法師が聖徳太子の師傳ちすて渡來し大に佛敎を興隆したる古事に鑑み萎靡不振に陥れる朝鮮の佛敎を復興するには此際何としても内地佛敎界の權威者を顧問として之が復興の策を講ずるより外に途なきを信ずるが故なり
(3)佛敎顧問に對する希望條件
イ 内地佛敎界に於ける權威者たること
ロ 宗派を超越すること
ハ 身體強健にして活動力あること
ニ 朝鮮の佛敎を終生の事業として一身を犠牲とする覺後あること
參、支部の設立
(1)鮮内支部
イ各道應所在地其他樞要の地に支部を置く
ロ會の發展に伴ひ各府郡所在地其他樞要の部落に漸次布敎所を設く、但し當分の間布敎所は各宗の布敎所を随時に借入るゝこと
ハ部落集會所或は養蠺乾繭塲を使用すること
ニ従來乾繭塲又は部落集會所の施設なき處には本會の社會事業たる養蠺の奨勵に伴ひ多少の補助を與へて施設せしむること
(2)鮮内支部組織の方法
イ 道知事推薦の地方中心人物にして佛敎の篤信者たる朝鮮人を以て支部長たらしむること
ロ 知事、内務部長、財務部長警察部長、郡守、警察署長、商業會議所會頭、學校組織管理者、學校々長、各宗主任其他官民の有志を顧問、相談役賛助員等の名義にて後援者たらしむること
ハ 布敎師は各支部に一人以上配置する必要あるも當分の間は本部より臨時必要に應じて派遣すること
ニ 支部の維持方法は其地方の自治とし事情に依り幾分の補助をなすことあるべし
(3)内地支部
イ 東京、大阪、京都、神戸、福岡の五大都市に置く
理由、東京は我が帝國の首都たるが故に、大阪は朝鮮人の多數移住せるが故に、京都は佛敎の根源地なるが故に、神戸、福岡は大阪と同様の事情の下に
ロ 内地支部長も事情の許す限り朝鮮人中の名望家を以てし役員は内鮮人の合同組織とする
ハ 内地人の最も活動力あり信用ある者をして支部長を補佐せしむ
ニ 内地支部の維持に要する經費は本部より之を支出する
四、布敎師の養成
(1)朝鮮人布敎師の養成
イ 中等學校卒業程度の青年を撰抜し内地の各宗大學に留學せしむること
ロ 布敎師養成に要する費用は各本山の負擔なるも本會に於て一人に付年額百二十圓を支出すること
ハ 留學生は事情の許す限り高徳者の寺院に拓宿せしむること
(2)内地人布敎師の養成
イ 内地人僧侶にして一身を犠牲にし朝鮮布敎に從事せんとする者は本會規定の朝鮮語を學習せしめ其の修了を待つて布敎師に任命すること
ロ 學習中事情に依りては幾分かの補助をなすことあるべし
(3)布敎師講習會の開催
毎年春秋二期に布敎師講習會を開催をし大會の信條に基き布敎の方法及び生活の改善、産業の奨勵に關する方法を講習せしむること
五、敎化事業
(1)布敎及文書傳道
イ 布敎師の養成前に於ける布敎は現在内鮮僧俗中により適任者を選抜し之に適當なる講習を施したる後布敎に從事せしむること
ロ 朝鮮民衆の一般に最も解し易き諺文を以て傳道をなすこと
(2)講演會の開催
イ 毎年六囘例會を開く、但し土地の状況に依り增減することあるべし
ロ 名士を招待して内鮮人の爲めに臨時特別講演會を開く
ハ 各地に宣傳の爲め巡廻講演會を開く
(3)其他必要と認むる社會事業
六、社會事業
(1)産業の奨勵
佛敎の眞髄たる靈肉共済の信條に依り産業中特に養蠺の奨勵をなさんとす養蠺は總督府當局者の最も奨勵しつゝある處なるも我が大會は幸に多數の婦人に會員を有し且つ最も至難とする婦人と直接相談し得る便利あるを以て布敎の傍ら養蠺の奨勵をなさんとす
(別紙『朝鮮蠺糸業』參照)
イ 養蠺は専門家に嘱託し本會の布敎師と協力奨勵すること
ロ 桑田の經營
ハ 種紙及桑葉の斡旋
ニ 乾繭塲に要する費用の補助
ホ 會員の手に成りたる繭糸の實買斡旋
(2)葬式及び墓地の改善
イ 現在朝鮮人の葬儀は儒敎の儀式に依り多額の費用を要するの風あり會員には佛式に依り出來るだけ費用の節約をなさしめんとす(現ニ本會ニ於テハ佛式ノ葬儀ヲ營ミツツアリ)
ロ 朝鮮人は風水説を信じ吉凶禍福は墓地の好悪より來るものとし墓地の爲めには生命を賭するも尚ほ辭せざるの風あり依て本會にては此弊風を矯正し共同墓地の觀念を涵養する爲一定の地域に完全なる墓地を設定すること
(3)施藥
篤志家の寄贈に依る藥品を備へ置き會員に施藥すること
(本會ニテハ現ニ之ヲ實行シツゝアリ)
七、研究及調査
一 専門の學者及朝鮮大學講師等に嘱託し佛敎の朝鮮文化に及ぼしたる功績及び佛蹟を研究發表すること
二 朝鮮佛敎史上に功績ある人物事情を研究發表し後進の鑑たらしむること
參 佛敎史上より觀たる内鮮の關係及び其れに關聯せる人物の事蹟を闡明し内鮮融和の徹底的實行上の參考に供すること
四 帝國大學其他に於て佛敎に關する事項を研究せんとする者に相當の研究費を補助すること
五 佛敎に關する書籍を發刊すること
八、内地佛敎見學補助
一 朝鮮僧侶にして本會の傳道に從事撰とする者又は篤信者中より毎年二十名を撰抜し内地の佛敎を見學せしむること
二 見學費用として年額二千圓を補助すること
九、機關新聞の發行
本會の機關として本年四月より『朝鮮佛敎』と題する佛敎新聞を發行し來りたるが右は本會の事業を宣傳すると共に朝鮮佛敎會の状況を善く内地に紹介し又内地佛敎界の状況を朝鮮に紹介し其他佛敎と文學、美術、産業、工藝其他との關係を闡明せんとするものにして各地の寺院を始め各官應、公共團體、官民有志其他一般に配布しつゝあり
(別紙『朝鮮佛敎』參照)

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