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植民地朝鮮の日本人宗教者
記事題目
「朝鮮に於ける各宗」
作者
安藤鉄腸
雑誌名
『中外日報』
号数等
年月日
1910年10月9日
本文
若し確乎たる根本方針あり、新附の民を導て敎化に浴せしめ得るとの自信あらば他を顧みずして大に進前すべし、然れども吾人の見る所を以てするに、此の確乎たる方針は各宗の何れに於ても定まり居らざるが如く、只朝鮮併合に誘導されて敎域拡張といふ、殆んど無意識的の内促に依り、頗る乏しき意味に於て、大擧伝道、開敎活動といふ現象を生じ來れるにあらざるか、吾人の憶測にして誤らざれば新附の民こそ善い迷惑なれ、
思ふに政府とても各宗の競争的布敎には心中頗る有り難からざらん、又今の政府は政策上一宗門を抜擢して之に新國民の敎化を委ねん抔の大量はなかるべく、言はゞ各宗の方では忠義立てして窈かに御機嫌を窺へども、政府は寄らず触らず、即かず離れずの方針を取り、曖昧の間に之をあやしつゝあるなり、佛敎各宗の不見識もさることながら、政府の狭量、浅見も亦愚かといふべし、(中略)暫らくは自由競争に任し自然の淘汰を待つの外なけん。
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