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記事題目

「朝鮮同胞敎化の爲め内地佛敎家の奮起を望む」

作者

東亜佛敎協和會副會長 李元錫

雑誌名

『中外日報』

号数等

年月日

1937年1月6日

本文

畏くも明治大帝の大御心に依り日韓併合以來最早二十有七年であるが未だ精神的内鮮融和にならないのは甚だ遺憾に思ふ次第である。
今日朝鮮の状態を觀れば物質的方面は政治經済の力に依り非常に進歩發達してあるが精神的方面はまだ發達してないのみならず精神事業の設備さへ出來ていないのである。これを觀れば内地佛敎家は朝鮮人布敎に全然無關心のやうに見えるのである。これは論より証拠で事實が証明するのである。今日朝鮮の基督敎は到る處に敎會を設置して津津浦々に基督敎の敎會堂のない處はないが内地佛敎家の朝鮮人布敎所は何處へ行つても見えないのである。此の点は佛敎家の立場として深く考へねばならぬ問題である。一日も早く朝鮮人の精神敎化に全力を入れて内鮮人の精神が一致するやうになつて精神的融和を圖らねばならぬ。日本の宗敎は佛敎が國敎のやうになつて國民の八割が佛敎信者だと云はれてあり、聖徳太子の十七條憲法にも篤く參宝を敬へと敎へてあるので千參百年間國民精神の中に參宝を敬ふ精神が浸み込んであるので日本精神は即ち佛敎の精神である。今日朝鮮人の精神を日本精神に一致するやうにするには朝鮮人に佛敎の精神を普及するのが一番近道であると思ふ。
又は日本精神の特徴は忠君愛國の精神であるが朝鮮人も同じ國民であるから忠君愛國の精神を待たねばならぬが、これも佛敎で説いた四恩の精神に依つて國民精神の養成が出來るのである。朝鮮人が四恩の精神即ち國王の恩、父母の恩參宝の恩衆生の恩を知り實行するやうになれば日國民の精神に一致するやうになるのである。(中略)
朝鮮人布敎方法に就いて御參考の爲め申述べるが、朝鮮人布敎は朝鮮人にやらすのが一番便利で効果があるのである。西洋人が朝鮮人に伝道した經験を見ても朝鮮人牧師を養成して朝鮮人伝道をやらせるのである。(中略)内地人は言葉も分らないのに直接やらうと思ふから却つてむつかしいのである。其の意味に於て朝鮮人布敎は先づ朝鮮人の人材養成即ち布敎師養成が必要であり敎會○○が急務である先例朝鮮佛敎團の主催で各宗に依頼して參十人位布敎師を養成したが敎會がない爲めに他の方面に就職した人が多いのである。
一方から人材を養成し一方からは敎會を没頭するのが朝鮮布敎の唯一の方法である。本會もその意味を以つて各宗と協力して敎會を設置し人材を養成して朝鮮人布敎の爲め世話をするのである。物は思ひ次第で心が起るので本會を応援する心持だけでは本氣にならないのである本會が各宗の布敎を世話するやうに思へば却つて有難い感じが起るのである、この事業は朝鮮二千萬同胞を感化する大事業であるから各宗の有志は熱心を以つて積極的に援助するのを望む次第である。(中略)
この頃は滿州布敎に氣が向いて朝鮮を忘れるやうになるが、先づ同じ國民たる朝鮮人布敎が急先務である。滿州布敎も必要であるが實行上では前途遼遼である。今日朝鮮人は言葉も出來るし今でもすぐ出來ることである。

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