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記事題目

「朝鮮問題と日本宗敎家」

作者

雑誌名

『中外日報』

号数等

年月日

1923年9月7日

本文

朝鮮問題が愈々困難なる立場になりつゝある事は今更蝶々するまでもない事で今回の東京地方震災中の事情から見ても明かなことである、日本政府が専ら力を注いでゐる武力政策を取り除いたならば直ちに台頭するほどに人心は反日本的の方向へ辿つて居る、之には種種なる原因があるだらうが根本の原因は政府の精神的施設の宜しきを得なかつた事に多く起因してゐると思ふ、朝鮮に限らず台湾に於てさへ今日なほ徹底した宗敎施設の加味を見ない有様で心ある者は全く愛想を盡かしてゐる次第だが人心を根本に於て指導する宗敎心に偉なる事を忘れてゐる日本政府の殖民政策は明らかに失敗だといひ得ると思ふ、然し乍ら之は政府ばかりの罪だと思つてると間違ひで態々布敎云々を目的に彼地へ行つて居る佛敎始め基督敎牧師なんかにも大いに責任がある、たゞ徒らに會堂のみを完全に固守して居りさへすれば爲す事了れりとして布敎を通り一遍のものと心掛けて居る結果で、米國の宣敎師が都會よりも田舎の隅から隅を巡回していとも叮嚀に人心の機微に触れ學校、病院とぐんへと施設して居るのと全く雲泥の差である、」

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