植民地朝鮮の日本人宗教者

○本月一日敎學拡張ノ儀ニ付宸殿ニ於テ　御門跡御直命引次御消息御紐解竝ニ演説
朝鮮ノ僧ハ無氣力無精神テアルアノ朝鮮僧ノ目ノ玉ノ醒メルヤウニスルコトハ日本ノ宗敎者ノ任テアル日本ノ宗敎トハ浄土真宗ノ日ノ出ノ勢ヲ以テ朝鮮ヲ警覺シテヤラ子ハナラヌ警覺スルニハ朝鮮語ヲ稽古セ子ハナラヌ唇亡フレハ歯寒シ日本ト支那ト朝鮮トハ唇歯ノ關係カアル支那ト朝鮮ノ佛敎カ亡フレハ日本ノ佛法ハ孤立ハ出來ヌソコテ朝鮮語支那語ヲ學フカ必要テアル
南ノ方ハ台湾テアル政府ハ真宗ノ布敎ヲ待テゴサルコレハ私カ明言スルコトテアル台湾ハ明治廿八年支那ヨリ我　天皇陛下ニ献上シタル土地テアル今ニ至ル迄穏ナラス動モスレハ叛旗ヲ翻ス者カアルソコテ一日モ速ニ浄土真宗ノ宗敎ヲ以テ台湾ノ人心ヲ忠良ニ誘ヒ我　天皇陛下ノ御高恩ヲ感戴シ奉ル様ニ致サ子ハナラヌ
私ノ知己ニ副島伯ト云カアル元ハ外務卿ヤ内務大臣トナリタ人テ只今ハ枢密院ノ顧問官テアル其同國即チ肥前ノ人某カ伯ノ紹介テ參リマシテコサック東方侵略史ヲ贈ラレマシタ其中ニ誠ニヲソロシイコトカアル或大國ノ大王ノ遺言ヲ戴テアル其言ニ敵國ヲ取ラフト思ハゝ先ツ耶蘇敎ヲ入込メテ人ノ心ヲ取レ其後ニソノ國ヲ奪ヘトアル之ヲ見タトキニ私ハ寒カラサルニ全身慄スル思ヒヲナシタ（中略）印度ノ滅スルモ安南ノ亡フルモ歴史ヲ読タ人ナラ大抵承知ノコトテアラフ先タツモノハ耶蘇敎テアル今テスラアマタ日本ニ入込テ居ルノニ明治參二年七月中地雑居トナリタコトナラハ雨ノフル如ク入込ムト見エル