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記事題目

「餘音嫋々たる阿羅蘭の曲 鮮人性格の一面觀(朝鮮地方視察記(二)」

作者

藤波大圓

雑誌名

『真宗』

号数等

306

年月日

1927年4月

本文

朝鮮人の思想悪化といふことについて私は左の如き直接原因をあげ得ると思ふ。
第一、 某國系基督敎宣敎師の影響によるもの、
第二、 共産主義の影響によるもの、
第三、 敎育普及の結果朝鮮人の偏狭なる所謂「めざめ」によるもの、
第四、 在住内地人の無自覺な影響によるもの、
こゝへ最近思想の特色である多數主義團結主義萬能觀念の波及によつて集團現象が甚だしく目について來たやうである即ち民族運動、社會主義運動を標榜するものを始め、目的達成の爲に結ばれてある會、組合などが多數に存在すると云はれて居る、その外に組織や規程をもたない非永續的性質の集團所謂群衆なるものも尠くないのである。
爲政者の方面に於てもこの運動の原因に多大の留意を払つて考慮をめぐらし、一時基督敎などにも非常な圧迫を加へ在鮮の敎會はすたれ牧師は追々生活に困り歸國する者も續出する風であつたが、なかへ長い歴史をもつものをなくすことは困難であるのと、牧師の方でも従來の煽動的方法を改むる様子が見えて來たので最近ではむしろ之を抱擁政策に転じて來たやうである。

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